今回は事業再構築や新規事業立ち上げの可能性について、数字の視点から2回に分けて考えてみます。
データとしては少し古くなりますが、2004年3月11日 第1刷発行の『金融のプロが見たベンチャー・ビジネス「成功と失敗」の分岐点』(著者:UFJベンチャー育成基金 松井憲一氏、発行所:ダイヤモンド社)において、UFJベンチャー育成基金(注)が実施した債務保証85件(対象期間:平成7年~平成13年)に関する事例が紹介されています(以下、同書)。
(注)2007年から財団法人三菱UFJ技術育成財団へと財団名を変更しています。
同書では85件の成功と失敗の事例を、企業診断の基本フレームワークである「イゴール・アンゾフの成長マトリックス」(以下、成長マトリックス)と「マイケル・ポーターの競争戦略」(以下、競争戦略)を使って分類しています。成功事例と失敗事例を基本フレームワークで集計した公開情報は稀有であるため、皆様にご紹介させていただきます。ご興味のある方は、ぜひ同書をご覧ください。
まずは前知識として、成長マトリックスと競争戦略について触れてみます。詳細については、別の機会で採りあげたいと思います。
■成長マトリックス
図示すると、次のようになります。
■競争戦略
差別化戦略は、QCD(Quality(品質)・Cost(コスト)・Delivery(納期))等の観点から他社と差別化した製品やサービスを提供し、市場シェアを拡大していく戦略です。集中戦略は、特定の市場セグメントに焦点を当てて競争優位性を獲得する戦略で、ニッチ戦略とも呼ばれます。図示すると、次のようになります。
同書で紹介されている85件の成功と失敗の事例を上掲の二つの図にプロットしてみると、下図のようになります。
<成長マトリックス>
金融のプロが見たベンチャー・ビジネス「成功と失敗」の分岐点」45ページ
<成長マトリックス>
「金融のプロが見たベンチャー・ビジネス「成功と失敗」の分岐点」43ページ
次回は、基本フレームワークにプロットされた数字が何を意味しているのか、考察をしてみたいと思います。
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